旅館の給与事情とは? 宿泊業界の平均給料や職種別の給与、将来性を紹介
目次
宿泊業界の給与は全国平均よりも低い
「旅館やホテルの給与は安い」と言われますが、実際はどうなのでしょうか? 他業種と比較してみましょう。
厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、一般労働者の賃金は、男性が33万7200円、女性が25万3600円となっています。
一方、産業別で見てみると、宿泊業・飲食サービス業の給与は男性が28万6800円、女性が21万5000円となっています。
このように、他の業界と比べると旅館などの宿泊業界は給与が低い傾向があるのです。
参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 【一般労働者の賃金】|厚生労働省
参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 【産業、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率】|厚生労働省
旅館・ホテル業界の給与の特徴
宿泊業界の給与にはどのような特徴があるのか、厚生労働省の調査結果をもとに見ていきましょう。
年齢
「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、宿泊業界における男性の平均賃金は28万6800円となっています。
他業種と比較すると低い傾向にありますが、ピーク時の50~54歳には34万300円まで上昇します。
一方、女性の平均賃金は21万5000円で、ピークとなる40~44歳の賃金は23万4400円です。
60歳を超えると大幅に給与が落ちる男性と異なり、女性は比較的ゆるやかに減少する傾向が見られます。
雇用形態
正社員・正職員の平均賃金は32万3400円、正社員・正職員以外は21万6700円(男女計)と、雇用形態によって大きく給与に差が出ています。それは宿泊業界も例外ではありません。
正社員・正職員以外の労働者は日給または時給で働く場合が多く、働く日数や時間によって大きく差が出ることが予想できます。
また、正社員・正職員として働けば管理職など手当が出るようなポジションに就くこともできますが、それ以外の雇用形態では難しいため、給与の差が開いていると考えられますよ。
地域
旅館業に限ったことではありませんが、都道府県によっても給与差が見られます。
同調査によると、東京都の賃金が男女計で36万4200円と最も高く、その他の地域では北海道が27万4800円、大阪が32万6900円、沖縄が25万800円となっています。
なお、最も平均賃金が低いのは宮崎県で24万4600円、東京都と比較するとその差は11万9600円にも上ります。
収入の高さを優先順位として就職先を探す場合は、旅館がある地域についても考慮すべきでしょう。
参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 【産業、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率】|厚生労働省
参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 【雇用形態別にみた賃金】|厚生労働省
参考:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況 【都道府県別にみた賃金】|厚生労働省
【職種別】旅館・ホテル業界の給与相場
この項目では、宿泊業界の給与相場を職種別にご紹介していきます。
職種 | 給与相場(月給) | 仕事内容 |
フロント | 20万円~25万円 | チェックイン・チェックアウト、予約管理を行う。フロントの印象が施設のイメージに直結することも多いため、ホテル・旅館の顔とも言われている。 |
仲居 | 15~20万円 | お客様のお迎えと客室までの案内、食事の準備と布団敷き、お見送り、客室清掃など接客全般に関わる業務を行う。 |
施設管理 | 20万円~30万円 | ホテル・旅館内の電気・給排水・ボイラー・空調設備などの運転管理・点検・補修作業を担当。 |
調理 | 20万円~30万円 | 施設の調理全般を担当。何らかの調理経験があることを応募資格とするケースが多い。 |
マネジメント | 20万円~40万円 | スタッフの育成や部門全体の目標設定、新規プロジェクトの企画立案などを行う。後輩への指導力や関係部門と円滑なコミュニケーションを取るといった能力も必要とされる。 |
事務職 | 16万円~25万円 | 人事総務や経理、広報といった、お客様への直接的なサービス以外に携わる業務を行う。 |
このように、ポジションによって給与が異なるため、やりたい仕事と収入のバランスを見ながら就職先を決めるのがポイントですよ。
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今後、宿泊業界の給与はアップするか
給与や待遇は働く上での大きなモチベーションの1つです。
どんなに「宿泊業界の仕事が好き、やりがいを感じている」と思っても、働きに見合う給与が得られなければ、仕事を続けるのは難しくなるでしょう。
また、旅館やホテルは常に優秀な人材を求めているため、ヘッドハンティングも盛んです。そのため、スキルのある人はより待遇の良い施設へ転職できるチャンスがあります。
あなたの能力やスキルに合ったより良い転職先を探すには、宿泊業界の内情に詳しい転職エージェントに話を聞いてみるのがおすすめです。
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職種や働く場所によって旅館の給与額は変動する
業界全体で賃金底上げの動きはあるものの、旅館業界の給与は全国平均よりまだまだ低い状況にあります。
しかし職種によっては高い給与を得られるため、スキルを身につけてキャリアアップを狙うことが可能ですよ。