宿泊業や地方中小企業が人手不足に陥る原因と解決法を解説!
目次
地方中小企業で加速する人手不足
2017年に中小企業基盤整備機構が行ったアンケートによると、中小企業の中で「人手不足を感じる」と回答したのは、全体の約73.6%という結果でした。この結果からもわかる通り、多くの中小企業が人手不足を感じているようです。
地方の中小企業が人手不足と感じるにいたる背景は何なのでしょうか。また、人手不足が続くとどうなってしまうのでしょうか。実際のデータをもとに、確認していきましょう。
参照:人手不足に関する中小企業への影響と対応状況について / 中小企業基盤整備機構
労働力人口は増加は進むも留まらない少子高齢化
少子高齢化の進行とともに労働力人口は減少しているのでは、ということが推測されそうなこの現状ですが、意外にも労働力人口は増加しています。アクティブシニアの登場により、15歳以上で労働の意思・労働可能な能力を持つ労働力人口は増加しているのです。
しかし、15~64歳のいわゆる生産年齢人口は今後も減少を続けると見込まれています。
2007年には65歳以上の高齢者が21%を超え、「超高齢社会」への突入以降も加速する少子高齢化に対し、政府は子育て支援制度の確立や、70歳までの就業確保法案を成立するなどという動きもみせていますが、効果が見えるまでには時間がかかるため、直接的な人手不足解消を実感しづらいという現状があります。
地方出身者の大都市圏への流出
地方の中小企業が人手不足を感じる背景には、地方出身者が都市部へ流出してしまうということも理由として挙げられます。
とある企業の調査によると、2020年卒の大学生が地元企業で就職がしたいと考えている割合は全国平均で49.8%で、調査開始時より地元での就職希望者は減少し続けているという結果が発表されています。中でも、地元以外に進学した学生の地元就職希望率は3割強ほどという低い結果となりました。
年々地元就職希望者が減少しているという点から、今後も地方出身者が大都市圏への流出していくことが見込まれます。
相次ぐ地方の企業倒産
東京商工リサーチによると、2020年3月度、全国の企業倒産件数は740件で、2019年9月から7ヶ月連続で前年同月を上回るという深刻な状況が続いています。この740社の企業倒産ですが、中小企業基本法に基づく分類としては構成比の100%が中小企業ということで、中小企業の倒産が目立つことがわかります。
単純計算で、日ごとに25社の企業が倒産しているというこの状況ですが、人手不足が原因となり倒産となってしまったという企業も増えているようです。
慢性的に人手不足が続いている企業は、放置をしていると回復困難な状況になり兼ねません。
地方中小企業が人手不足に陥る原因
約7割の地方中小企業が人手不足と感じている状態にありますが、原因は一体どこにあるのでしょうか。人手不足の原因として考えられている要因をみていきましょう。
賃金が低い
地方は都市部と比較し、賃金が低くなってしまう傾向があります。特に地方の中小企業は、利益確保の際、売上の拡大よりも取り組みやすいコスト削減、ひいては人件費の削減を検討してしまう企業も多いのではないでしょうか。
働き手からすると、同じ労働時間で賃金の差が大きい、かといって生活費が格段に安いという訳ではないことから、地元就職が選択肢としてあがらないという方もいるようです。
やりたい仕事がない
地方は都市部と比較し、企業数が少ないため、必然的に求人も少なくなります。仕事があるのは確かですが、インフラ・飲食業・小売業などの人気の低い職種に限られてしまうため、「地元で働きたいが、興味のある職種がなく就職ができない」という方が出てしまうようです。
雇用が安定していないイメージがある
地方の中小企業は大手企業に比べ、潤沢な資金がありません。また、前項でご紹介したように、日々多くの中小企業が倒産しているという現状があります。
倒産数に関しては、国内においてが99%以上が中小企業であるということが大きく関係していますが、この事実を知らなかったり、たとえ堅実に成長をし続けている企業であってもそれを知る機会が少ないため、雇用が安定していないというイメージが離れない、という方も少なくないようです。
人手不足が解消されない地方中小企業の特徴
人手不足が解消されない地方中小企業には、いくつかの特徴があるようです。どのような特徴があるのでしょうか。
企業体制が古い
人手不足が解消されない治雄としてとして、旧体制が続いているという点が挙げられます。いわゆる古い考えを持ったままの企業は、人手不足の解消が困難であるという傾向にあります。
時代の変化に柔軟に適応ができない企業には、時代を作りたいと考えるようなモチベーションの高い入職希望者が集まりまらず、入職したとしても体制が合わない、と離職を選択してしまうこともあるようです。
人材に対する配慮が不足している
低賃金、厳しい労働環境、人材の教育体制が整っていない、など人材に対する配慮が不足している企業もまた、人手不足が解消されない企業の特徴です。
企業は人なり、という言葉もあるように、どんな規模・業種・職種であっても、人なくしては企業存続は不可能です。
人材を大切にしない、または人材を大切できないと働き手に判断されてしまう企業は、入職者が増えないうえに離職が後を絶たないため、一向に人手不足が解消されない、という危機に陥ってしまいます。
地方中小企業の人手不足の解決法は?
地方中小企業が人手不足を解消するための解決法はどのようなものなのでしょうか。解決に導くことができる、3つの方法をご紹介します。
幅広い人材の確保
足元の人材不足を解消するために、まずは採用する人材の幅を広げてみましょう。
近年では、女性が社会進出するという機会も増えています。人手不足を解消し、成長を続けている企業は、女性のみならず、高齢者や外国人などの採用を増やしている傾向があります。
先入観や今までの慣習にとらわれずに幅広く人材を確保することで、企業に新しい風が吹き、時代に即した企業成長ができるかもしれません。
非正規雇用者の待遇改善
主に若年層を中心に、新しい働き方に注目が集まっています。
正規雇用・非正規雇用という雇用形態や、副業などひとつの収入源にとらわれないというような、フレキシブルな働き方が認められる時代となった現代でも、働き手が気になるのは企業からの保障です。
特に、正規雇用者と同様の労働時間がある非正規雇用者は、見込めない賃金の向上や、福利厚生に差などに対し、不満を感じる場合があります。
同一労働同一賃金を導入するなど、非正規雇用者と正規雇用者の間に不合理な待遇差が生じないような環境づくりを目指しましょう。
IT化の推進
ホワイトカラーを中心に、IT化の推進が進んでいます。しかし、地方であれば、IT化進めたがうまく機能していない、未だ導入が進んでいないという中小企業もあるのではないでしょうか。
IT化を進めることにより、業務の生産性の向上に期待ができ、結果として人手不足を解消に期待できます。中小企業のIT化は国をあげ推進しており、補助金制度もあるため、未利用の企業はぜひ利用することをおすすめします。
また、在宅しながら業務を進めることができすリモートワークやテレワークにも注目が集まっています。育児や介護の必要があり、出社が難しい環境にある方なども勤務が可能です。
企業としても、光熱費や通信費などの経費削減や、離職防止に繋がるなどのメリットがあります。出社せずオンライン上で進めることができる業務があれば、導入を検討してもよいのではないでしょうか。
ホテル・旅館などの宿泊業で人手不足を解消するための方法
前項では地方中小企業、全業種に対する人手不足の解消法をご紹介しましたが、宿泊業ではどのような解消法があるのでしょうか。宿泊業に適した解決法を3つご紹介します。
外国人の採用
インバウンド需要が高まっているため、宿泊業の人手不足解消の方法として注目が集まっているのが外国人の採用です。フロント業務の場合は、使用人口の多い中国語や英語力など、日本人以上の語学力の期待ができ、人手不足の解消とともに外国人観光客の受け入れにも一役買ってくれる可能性があります。
労働時間を中心とした労働環境の見直し
絶えず宿泊業界の課題と挙げられるのが、離職率の高さです。労働時間の長さ、不規則な就業体系など、他業界と比較した時にネックになりやすいのが労働時間を中心とした過酷な労働環境です。
実際に連休を制度化をしたり、生活サービスに直結した福利厚生を導入したという企業もあるので、必要に応じ、労働環境を見直してみてはいかがでしょうか。
IT化を中心とした生産性向上
宿泊業界でもITを活用した事例が増えています。宿泊日報を手書き入力からパソコン入力に変更という細やかな業務改善から、タブレットを用いてフロントと客室係で顧客情報の共有を行う、などといった社内共有システムの導入などがその一例です。
ITをはじめとし、宿泊業界で生産性向上が成功したという事例のご紹介もありますので、気になる方は観光庁公式サイトをご覧になってみてください。
ITを活用し地方中小企業の人手不足を解消しよう!
一朝一夕には実現が難しいのが人手不足の解消です。大手企業ならまだしも、地方の中小企業からすると、頭を抱える問題点がいくつもあることでしょう。
何から手を付けたらよいのか、と迷われた企業はまずIT化を進めてみてはいかがでしょうか。これからの時代、インターネット・ITは切っても切り離せない存在となりますので、早めに慣れ親しんでおくにこしたことはありません。
当サイト「おもてなしHR」でも、人手不足解消のために採用活動を支援するサービスを提供しておりますので、宿泊業界の採用でお悩みの企業があれば、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。